ジカ熱について

2016.02.20

ここ1ヶ月間で、日本では聞きなれない「ジカ熱」という感染症のニュースが、様々なメディアで報道されるようになりました。中南米における流行、関連が疑われる他疾患やWHOの緊急事態宣言の報道で、これからは日本でも広く認知されるようになると思われます。

ジカ熱には、以下のような特徴があります。

・ウィルス感染症である。患者を吸血した蚊の体内でウィルスが増殖し、その蚊が他者を吸血することで感染する(蚊媒介性)。媒介する蚊は、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどヤブカ属である。
 →デング熱などと同様に蚊による媒介であり、冬季の存在する日本では一部を除いて蚊成虫が越冬できないと考えられるため、国内で流行する可能性は低いとされています。2014年のデング熱と同様に、蚊成虫の発生する夏季に旅行者などにより限定的な場所で一過性の感染が起きる可能性は低いながらもあるとされています。

・主な症状は、軽度の発熱、発疹、筋肉痛などである。
 →ワクチンや特有の薬はありませんが、症状は比較的軽く対症療法にて数日で治るとされています。2014年に国内で患者が出たデング熱と比較すると、症状は軽いとされています。

・ジカ熱と小頭症の子供の関連性が示唆されている。
 →感染症流行地域で小頭症の事例が多いとの発表、WHOから「科学的な証明はまだされていないが、疑われる」と発表、また幾つかの国や地域の機関から、妊婦に対して感染がみられる国への渡航に注意が呼びかけられています。

時節柄、卒業旅行や休暇で、発生地域の東南アジア諸国に行かれる人、2016年には流行国であるブラジルでオリンピックが開催されることもあり、中南米に行かれる人も多いと思われます。海外、特に熱帯・亜熱帯域には、ジカ熱以外の虫媒介感染症が多く確認されており、ワクチンや治療薬が無いものも多くあります。そのような感染症は予防が重要であり、虫が生息しているような場所には近づかない、過度な露出は避け長袖の服を着る、虫除け剤を使用するなどが方法として挙げられます。

地球温暖化による媒介生物の生息域拡大や人間の移動手段の発達により、国外原産の感染症に罹る可能性が高くなっています。予防や感染時対処のためにも、感染症について知ることが重要です。自身や家族など周囲のためにも、渡航の際には十分な注意をよろしくお願いいたします。

以下、感染症について情報が記載されているサイトになります。
参考までにご覧ください。

厚生労働省「ジカウイルス感染症について」
国立国際医療研究センター「ジカ熱 ジカウイルス感染症(Zika Fever, Zika Virus Infection)」

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