クリーンルーム工事の際の虫の侵入対策

衛生環境管理サービス

普段は防虫対策がとられているクリーンルームでも、工事などの際にそのバリア性が崩れ、昆虫の侵入を許してしまう事があります。そのような場合に、昆虫の侵入を防ぐためのポイントをいくつかまとめました。

 

【飛翔侵入性の昆虫に対する対策】

 建物が解放されることにより、外部の飛翔性昆虫が建物の中に侵入してしまう事が良くあります。これを防ぐためには、開放箇所をより狭く、開放時間をより短くする必要があります。具体的には、開放部分にカーテン養生を付けるなどの方法があります。場所によっては、カーテン養生をいくつか設置し簡易的な前室を作ることも効果的です。また、業務用扇風機などで簡易的なエアカーテンを作り、飛翔性昆虫の侵入を防止する方法もあります。

 その他、これらの対策を行ったとしても飛翔性昆虫の侵入を完全に防ぐことは難しいため、内部に侵入した飛翔性昆虫を捕殺するためのライトトラップなどを置くことも対策になります。ライトトラップは、外部に光が漏れると逆に飛翔性昆虫を誘引してしまうため設置箇所には注意が必要です。また、電殺式のライトトラップは死骸の飛散が問題となるため、粘着式のものを使用します。

 

〇まとめ

・扉の解放はなるべく狭く、開放時間はなるべく短いことが好ましい

・建物の状況に応じて、カーテン養生・簡易的な前室などを設置する

・建物の状況に応じて、業務用扇風機などで簡易的なエアカーテンを作る

・内部に侵入した昆虫はライトトラップなどで、捕殺する

 

【微小な昆虫の持ち込み対策】 

 内部で、繁殖して問題になるチャタテムシ類やダニ類、トビムシ類などは一般的な住環境にも多く存在するため、衣服や靴、道具などに付着してクリーンルーム内部に持ち込まれてしまう事がよくあります。普段の運用では、更衣等によりこれらの持ち込みを防いでいると思われますが、工事の際はこれが崩れてしまう事が散見されます。特に、工事に使う道具類などは屋外に置かれていたものなどが使われてしまう事もありますので、注意が必要です。

 対策としては、できる範囲で更衣等を行うこと、特に靴はカビの原因になる土や微小な土壌生成物が付着しているため、履き替えが重要になりますが、工事の際は見落とされていることがあります。また、持ち込む資材一式は、事前に拭き上げを行いラッピングやきれいな容器に入れての持ち込みを行った方が良いでしょう。昆虫を持ち込みやすい、木製や布製のものがないかも注意が必要です。その他、多くの人間が出入りすることになる場合、全員がそれら注意事項を守っているかの管理も重要になります。

 

〇まとめ

・外部からの物の持ち込みは少ない方が望ましい

・可能な範囲で、外部と内部で更衣を行う。特に靴は土や虫を持ち込むため注意

・持ち込む道具は、拭き上げやラッピング等を行い、清潔な状態で搬入する

・布製や木製の物は昆虫の持ち込みリスクが高いため、必要最小限に抑える

・搬入搬出や出入りの際のルールを制定し、それを徹底する

 

【工事後の対策】

基本的に、工事後は清掃によるクリーン化が行われます。この際に、防虫を意識した清掃を行われることが望まれます。飛翔性昆虫の死骸などは、異物混入の他、カビの発生などの原因になりますので、取り除く必要があります。また、ダニ類やチャタテムシ類など、内部繁殖可能な微小な虫類が持ち込まれている可能性があります。洗剤やアルコールなどの暴露で、ある程度の殺虫は可能ですので、それを意識しての清掃も大切になります。

また、清掃終了後は、本当にクリーン化できているかを確かめるために、通常はモニタリングしていない場所であっても昆虫モニタリング調査を行い、昆虫の生息状況を確認することが望まれます。

 

〇まとめ

・防虫を意識した清掃、クリーン化を行う

・昆虫モニタリング調査を行い、昆虫の生息状況を確認する

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