作業環境対策の落とし穴

2013.01.17

新年おめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

さて、弊社の主要業務として作業環境測定(粉じん・特定化学物質・有機溶剤等の有害な物質を取り扱う作業場の環境測定)があります。その為、様々な作業環境の改善対策を拝見し、その中には我々も感心するような効果的な対策をされている作業場もあるのですが、一方で殆ど効果の無い、或いは逆に悪化するような対策を見かけることがあります。

○ここでは間違った改善対策の実例を紹介します。

・局所排気装置が設置されているが、吸い込んだ有害空気が同じ作業場内に排気されており、拡散を促進している。活性炭除去装置が付属していたが、完全に吸着能力が無くなっていた。

・発生した有機溶剤蒸気が排気装置側に流れるように、有機溶剤作業者の背後から排気装置に向けて扇風機を稼働させていたが、風が強過ぎて一様流で無い為、逆に排気を妨げ拡散させていた。

・有機溶剤を使用する作業場の除去装置として集じん機が使用されている。
集じん機は粒子状の粉じんを除去する為の装置であり、気体の有害物質除去には向かない。作業場内に設置されていたので、装置の排気が発生源となっていた。

・エチレンオキシドガス滅菌装置による滅菌後、取り出した医療器具をエアレーターに移して、エアレーションを行っていたが、エアレーターから室内に排気されていた為、エアレーター周辺のエチレンオキシドガス濃度が高くなっていた。

・病院内のエチレンオキシド滅菌やホルマリンを取り扱う作業者が医療用マスクを着用して作業を行っていた。通常の医療用マスクはウイルスや飛沫感染に対する効力は高いが、有害ガスに対する防御効果は無い。有効な防毒マスクを着用する必要がある。

・有機溶剤作業場の換気を行う為、壁に排気用の換気扇を設置していたが、作業者が発生源よりも換気扇側(風下側)に立って作業を行っていた。発生した有機溶剤蒸気は作業者側に流れる為、より高濃度の暴露を受けることになる。

正しく効果的な対策を行う為には、装置や保護具の正しい使用と有害物質等に関する知識が必要になります。弊社では作業環境測定と共に、改善対策に関するご相談も承っております。

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