なぜ医療施設の清拭は「一方向」でなければならないのか
2026-05-11

日々の清掃において、一見して「清潔に見える」行為が、実は微生物の拡散を助けてしまうことがあります。今回は、モップによる床清拭の「方向性」に焦点を当て、実験結果と正しい手順について解説します。
日々の清掃において、一見して「清潔に見える」行為が、実は微生物の拡散を助けてしまうことがあります。
今回は、モップによる床清拭の「方向性」に焦点を当て、実験結果と正しい手順について解説します。
往復拭きの何が問題か?
床清拭と聞くと、雑巾がけのように前後に往復させる動作をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、この「往復拭き」は医療施設においては避けるべき手技とされています。
理由はシンプルです。汚染されたモップ面がそのまま再度床に触れることで、一度拾い上げた汚染(微生物や有機物など)を床面に塗り戻してしまうからです。
つまり往復拭きの「戻り動作」は、汚染の再塗布につながる恐れがあります。

実験で見えた「差」
二つの拭き方の違いを可視化する為、赤い砂を用いた実験を行いました。

赤い砂が残存している箇所が「汚染が拭き取られなかった・再付着した」エリアです。
一方向拭きでは汚染が一方向に集約・排除されているのに対し、往復拭きでは往復動作によって清拭エリア全体に赤い砂が拡散している様子が確認できます。
この結果から往復拭きは汚れを「取っている」というより「広げてしまっている」ことがよくわかります。
正しい一方向清拭の手順
理屈を理解しても、実際の動作に落とし込まなければ意味がありません。
以下に、基本的な一方向清拭(湿式清掃の場合)の手順を紹介します。

この繰り返しで部屋や廊下の奥から手前に後ろに進んでいきます。
後ろに進む理由は清潔にした床を自分の靴で汚さないためです。
※乾式清掃の場合は、前進しながら進みS字を描くように拭きます。
最後に
お掃除というと、ついついゴシゴシ往復させたくなりますよね。
でも、「戻る動き」が、せっかく取った汚れを広げてしまっていたのです。
見た目の美しさだけでなく、目に見えない菌を広げないのが医療現場の清掃です。
「一方向拭き」という一つの動作を徹底することが、患者さんやスタッフを守る一歩に繋がります。
正しい拭き方を習慣化し、安全で清潔な医療環境を維持していきましょう。
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