石綿分析に使用する酸の種類について

環境測定・分析サービス

石綿分析では顕微鏡検査の前に様々な化学的・物理的調整方法を用いることによって、残存するアスベストの検出を容易にすることができます。灰化による有機物の除去、酸処理による可溶性成分の除去、浮遊沈降による分離等の方法があります。中でも酸処理はカルサイト・石こうなど試料の質量の大部分を占め、アスベストの表面を覆ってしまう成分を除去することができるため、定性分析において非常に効果的です。

その酸処理に使用する酸ですが、JIS A 1481-1では2 mol/L塩酸、JIS A 1481-2では20%ぎ酸を用いると記載されています。塩酸の方が強い酸のイメージがありますが実際はどうなのか、またなぜJIS A 1481-1とJIS A 1481-2で酸を使い分けているのか気になったので数種類の建材について比較検証をしてみました。

 

今回の検証は灰化処理によって有機物を除去し、粉砕して425μmのふるいに通した粉末の試料について行っております。

検証の結果、仕上塗材とケイ酸カルシウム板については酸の違いによる有意差は認められませんでした。石こうボードと岩綿吸音板については2mol/L塩酸で処理した時の方がはるかによい除去効率が得られました。また今回検証したすべての建材において2mol/L塩酸で処理した時の方が除去効率がよかったため、夾雑物の除去には2mol/L塩酸の方がより効果的であると感じました。

 

個人的な見解ですが、JIS A 1481-1とJIS A 1481-2で酸を使い分けている理由としては試料の状態が異なるからではないかと思います。JIS A 1481-2では細かく粉砕した試料を取り扱うため弱い酸でも効率よく可溶性成分を除去できます。また酸処理はクリソタイルの屈折率を低下させる場合があるので、その影響を抑えるためにも20%ぎ酸を用いているのではないでしょうか。

‍

この記事を共有
環境測定・分析サービス

お問い合わせ

環境整備などでお困りでしたらお気軽にご相談ください。