シミの生活環境に関する雑考察

衛生環境管理サービス

害虫の話を始めるにあたって、極めて個人的な話から入らせていただきます。
筆者は、数か月前に引っ越しを行いました。アパートから一戸建てへの引っ越しです。それに伴いまして、個人的に飼育している屋内害虫も一緒に引っ越しを行ったのですが、先日、一緒に引っ越しをしたシミが全滅してしまっていることに気が付きました。

シミは、屋内でもよく見られる生活害虫であり、古本の害虫としてもよく知られています。漢字では「紙魚(しみ)」と書きます。全身が灰色~銀色に近いような色の鱗に覆われており、紙の束の中をまるで泳ぐように動く様から、このように呼ばれているのだと思われます。

さて、このシミが、引っ越し前のアパートにはたくさん住み着いていました。
アパートの中でも、特に和室と脱衣室によく現れました。畳の隙間や、洗面台の下からちょろちょろと姿を現す姿が可愛らしく、家族に頼んで見つけたら捕まえてもらうようにしており、そうして引っ越す前には、十数匹をシャーレに入れて飼う事ができていたのですが……、先日、全滅してしまっている事に気が付きました。

かわいそうな事をしました。原因を考えてみるに、おそらくエアコンによる乾燥がいけなかったのでしょう。アパートにいた際には、恐らくコンクリートがある程度の湿気を保っていたためシミが生活しやすかったのではないかと思います。

 

そうして考えてみると、私が普段モニタリングを行っている現場の事が思い浮かびます。私が担当する現場は高清浄度な場所が多いため、シミがたくさん採れることはあまりありませんが、やはり数匹捕まってしまう場所があります。そういった場所は、湿ったコンクリートが露出している場所である事が多いような気がします。

また、ネズミ用の粘着シートにシミが大量に付着しているのを見る事があります。それらの場所は、機械室やボイラー室流し台の下など、やはり湿ったコンクリートがある場所が多いように感じます(あくまで、湿気が高い状態の場所で、水にぬれているような環境までいくと、シミは殆ど居なくなります)。

 

シミというと、植物材や紙を食べる事から、私は「木造的なところ」に多いのではないかと想像していたのですが、実際につかまっているところを見ると、コンクリートや土間的な環境を好むようです。もちろん、シミにもいろいろな種類が居るので、一概には言えませんが。

建物内での昆虫の繁殖を防ぐためには、昆虫の住みにくい環境を作る必要があります。そして、昆虫の住みにくい環境を作るためには、昆虫の好む環境を知る必要があります。文献から知識を得る事も大事ですが、害虫に関しては、実地で「実際にどうなのか」を知る機会がだんだん減ってきたように感じています。少ない機会を拾い上げ、もっと害虫に真摯に向き合わねばと思うのですが、なかなか機会というのはめぐってきません。そういう意味で、「引っ越し前のアパートは、シミの観察場所として最高だったなあ」とも思う、この頃です。

ペストコントロール業務管理部 技術部長

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