作業環境測定の現場で見かけた、間違った改善対策

環境測定・分析サービス

弊社の主要業務の一つに、作業環境測定があります。
粉じん、特定化学物質、有機溶剤など、有害な物質を取り扱う作業場を対象に、その作業環境が適切に管理されているかを測定・評価しています。

これまで数多くの作業場を訪問する中で、さまざまな環境改善対策を目にしてきました。

中には、私たちも感心するほど効果的な対策を実施されている作業場がある一方で、残念ながら、ほとんど効果が見られない対策や、場合によってはかえって作業環境を悪化させてしまうような対策が行われているケースもあります。

そこで今回は、実際に作業環境測定の現場で見かけた間違った改善対策の実例をご紹介します。

~実際に見かけた『間違った改善対策』の事例~

① 排気した空気を作業場内に戻している

局所排気装置が設置されているものの、吸い込んだ有害物質を含む空気が同じ作業場内に排気されており、かえって有害物質の拡散を促しているケースがありました。

また、付属していた活性炭除去装置も、定期的な交換・再生が行われておらず、除去能力を失っている状態でした。

② 扇風機で有機溶剤蒸気を排気装置へ送る

発生した有機溶剤蒸気を排気装置側へ流すため、作業者の背後から扇風機を稼働させているケースがありました。

しかし、扇風機の風は一方向に均一に流れる「一様流」ではないため、排気を妨げたり、有機溶剤蒸気を作業場内に拡散させたりする可能性があります。

※一様流:流体の速度や方向が空間的にほぼ一定の流れ。

③ 有機溶剤の除去に集じん機を使用する

有機溶剤を使用する作業場で、除去装置として集じん機が使用されているケースがありました。

集じん機は、主に粉じんなどの粒子状物質を除去するための装置であり、有機溶剤蒸気などの気体状物質の除去には適していません。

さらに、作業場内に設置されていたため、装置の排気自体が有害物質の発生源となっていました。

④ エアレーターの排気を室内に戻している

エチレンオキシドガス滅菌装置による滅菌後、医療器具をエアレーターに移してエアレーションを行っていましたが、エアレーターからの排気が室内に排出されているケースがありました。

そのため、エアレーター周辺のエチレンオキシドガス濃度が高くなっていました。

エアレーションでは、医療器具に残留するエチレンオキシドを適切に排出するとともに、排気したガスを作業場内に放出しないことが重要です。

⑤ 有害ガスを扱う作業で医療用マスクを着用する

病院内でエチレンオキシド滅菌やホルマリンを取り扱う作業において、医療用マスクを着用しているケースがありました。

医療用マスクは、主に飛沫などを防ぐためのもので、有害なガスや蒸気を防ぐことはできません。

取り扱う物質に応じて、適切な防毒マスクなどの呼吸用保護具を使用する必要があります。

⑥ 作業者が風上で塗装作業を行う

塗装作業場にプッシュプル型換気装置が設置されていましたが、作業者が風上側に置かれた製品に向かって吹付塗装を行っているケースがありました。

この状態では、発生した有機溶剤蒸気が排気装置へ到達する前に作業者へ流れてしまい、より高濃度の暴露を受ける可能性があるため、作業者は風上側で作業を行う必要があります。

このように、改善対策は「設備を設置する」「マスクを着用する」といった対応だけでは十分とはいえません。有害物質の性質や発生状況、気流などを考慮し、適切な方法で対策を行うことが重要です。

 

正しく効果的な対策を行う為には、装置や保護具の正しい使用と有害物質等に関する知識が必要になります。弊社では作業環境測定と共に、改善対策に関するご相談も承っております。

この記事を共有
環境測定・分析サービス

お問い合わせ

環境整備などでお困りでしたらお気軽にご相談ください。