クリーンルームの昆虫モニタリングとは?異物混入を防ぐ重要性
2026-10-19

クリーンルーム、特に製造施設のクリーンルームでは、汚染源となる物品の持ち込みが厳しく制限されているため、室内で昆虫が捕獲されることはほとんどありません。しかし、そのような環境であっても昆虫モニタリングを行う事には大きな意味があります。今回は、クリーンルームにおける昆虫モニタリングの意義について解説します。
1.運用管理のエラーに気付く
クリーンルームは「昆虫が居てはいけない」空間です。昆虫の存在は、混入等のエラーに繋がるなど製造ラインの品質管理の上で大きな問題になります。
しかし、この「昆虫が居てはいけない」空間ですが、人間が出入りする以上、外部からの異物の持ち込みは避けられません。特に、昆虫などの微小な虫類は、建物外部のあらゆる箇所に何万と存在し、人の移動や物品の搬入に伴い屋内へ侵入します。これを防ぐために、クリーンルームでは「更衣」「エアシャワー」「異物の取り除き(コロコロや吸引など)」「二次更衣」など、異物を持ち込まないための動線が作られています。

しかし、人が運用する以上、これが常に保たれているとは限りません。
私が経験した現場では、クリーンルーム内で急に外部侵入性の昆虫の捕獲が増加し、理由を調べてみると『簡易的な工事を行うために物品の持ち込みを行った』という事がわかりました。これは、工事の際などの運用ルールが定まっておらず、クリーンルーム内へ汚染源が持ち込まれたことによる問題です。そして、これは、昆虫モニタリングを行っていなければ、気づかれずに混入の原因になっていた可能性がある他、今後もこのような運用が継続的に行われてしまっていた事でしょう。
2.清掃のエラーに気付く
次に問題になるのが、クリーンルーム内部での昆虫の繁殖です。餌のないクリーンルーム内では昆虫は繁殖できないと考えがちですが、条件次第では繁殖可能な種類も存在します。

屋内性のチャタテムシの仲間は、微小で屋内に多く存在するため、クリーンルームにも侵入しやすい存在です。そして、このチャタテムシの仲間は、埃などに含まれる有機物やカビを食べて繁殖します。
チャタテムシ類は、クリーンルームなどでもしばしば繁殖し問題になりますが、その場合、餌となる有機物の堆積やカビの発生を懸念しなければなりません。クリーンルームにとっては、カビの存在も大変問題になります。つまり、カビや汚れの指標としても、昆虫モニタリングが有用になる場合があるのです。
3.建物のエラーに気付く
最後に、チャタテムシがクリーンルームの室内ではなく、壁や天井の内部で繁殖し屋内に侵入してくる事例を説明します。クリーンルームは、大きな箱のような部屋が、建物内に収まっているというつくりをしている物が多いです。高い気密性が保たれ、外部から昆虫や粉塵などの汚染源が侵入しにくい構造になっているのが一般的です。
しかし、建物にはどうしても「継ぎ目」のような箇所や、配管や配線のために壁や天井を貫通している箇所も存在します。
壁の内部などで、チャタテムシ類が繁殖している場合、これらの弱い箇所からクリーンルーム内にチャタテムシ類などが侵入してくることがあります。


このようにして、チャタテムシ類が屋内に侵入し問題になります。建物に亀裂や隙間がある場合には早めに建物の営繕を行わなければ、継続して問題が起こり続ける事にもなります。
以上のように、清潔を保っているはずのクリーンルームでも昆虫が捕まってしまう事があります。そして、昆虫が捕獲されるという事は、何らかの異常や管理上の問題が発生している可能性があり、そのようなエラーが出ていないかを調べる意味でも、昆虫モニタリングを行う事は有用です。
昆虫モニタリングの目的は昆虫を捕獲すること自体ではなく、捕獲された昆虫を通じて運用上・清掃上・建物上の問題点を早期に発見することにもあります。
ペストコントロール業務管理部 技術部長
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