アスベストとマスク―第2次世界大戦時のアスベストを使用した防毒マスク―

2020.12.16

コロナ禍でマスク着用が推奨されている中、海外アーティストの方々がさまざまなデザイ
ンのマスクを着用し、話題になりました。
現在の衛生マスクは化学繊維や植物性繊維等で作られており、花粉、ホコリ等が体内に侵入
するのを防ぐことや、咳やクシャミの飛沫の飛散を防ぐことを目的に使用されています。
ところで、第2次世界大戦時ではアスベストを用いた防毒マスクが使われていたのはご存
じでしょうか?

       1216.png

キャプチャ1216.PNG

大戦中、英・米の市民たちは対戦国の有毒ガス攻撃から身を守るために、防毒マスクを日常
生活に身に着ける時期がありました。*1)
約1億5000万個も配布されたこの防毒マスクのフィルターには、少なくとも20%以上の
アスベスト(クリソタイルやクロシドライト)が含まれておりました。*2)

最終的には、対戦国による毒ガス攻撃を経験することなく終戦を迎えました。アスベストを
使用した人体に有害な防毒マスクは、毒ガス攻撃から市民の生命を救う機会はありません
でした。しかし、この防毒マスクのアスベストを含むフィルター部分の製造工程に従事した
労働者などがアスベストの犠牲になったとの報告があります。*3)

この防毒マスクは、ヴィンテージコレクターの間でとても人気があり、インターネットを通
じて世界中で取引されているようです。しかし、欧米諸国や日本等多くの国でアスベスト含
有製品の輸入は法律で禁止されております*4)

1216-1.png

カテゴリー:

ページの先頭へ戻る